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Proof. 試しにforcing posetの公理を書き下してみる:
これらは明らかにZF−Pの下でΔ0-論理式で書ける.最初なので詳しく書けば,x≤yはZF−Pの下でΔ0論理式∃p∈≤[p=⟨x,y⟩]と同値である.上式に現れる量化子はすべて有界なので,これらも全てΔ0-論理式となり,従ってZF−Pの推移的モデルに対し絶対である.稠密性についても同様.
1∈MはMの推移性からすぐに出て来るが,≤は入るとは限らないので≤∈Mを条件に入れておく.しかし,大抵の場合≤∈Mも絶対性から従う.
強制法では適切なposet P∈MのフィルターGを使って¬CHを破ったりするような対象を作る.MAの時は適切な個数の稠密集合と交わるフィルターを考えたが,強制法の場合は次がその条件に対応する:
Pをforcing
posetとする.G⊆PがM上P-ジェネリックdefGはP上のフィルターで∀D⊆G[D∈M∧D:Pで稠密⟶D∩G=∅].
Mは可算なので,Mに属する稠密集合を数えあげることが出来,補題III.3.14よりジェネリックフィルターは必ず存在する:
M:ZF−Pのc.t.m.,P∈M:forcing poset
⟹∀p∈P∃G⊆P[p∈G∧GはM上P-ジェネリック]
Mに入っている稠密集合Dの列挙自体がMに属するとは限らず,特にGは大抵の場合Mの元ではない:
P∈Mがアトムを持たず,GがM上P-ジェネリック⟹G∈/M
Proof. Pはアトムを持たないのでD=P∖Gは稠密.G∈MとするとD∈Mとなり,G∩D=∅に矛盾.
Pがアトムrを持つなら,G={q:q⊥r}はジェネリックフィルターとなり,更にMに属するが,強制法やMAへの応用上現れるposetの殆んどはアトムを持たないものである.
以下では,Mの元とGを使い,「単純な集合論的過程」によって新たなモデルM[G]を構成していく. まず,M[G]の各元について,その「作り方」を記した名前を割り当てるところから始める:
τがP-name defτ二項関係であり∀⟨σ,p⟩∈τ[σ は P-name∧p∈P]を満たす.
この時,VP:={P-name全体のクラス}と置く.
P-nameの概念は整礎帰納法により定義されている.より厳密には,集合的整礎関係xRydefx∈trcl(y)に関する帰納法により,VPの「特性関数」F:V→2を次のように定義している: F(τ)={10(τ:Relation,∀⟨σ,p⟩∈τ[F(σ)=1∧p∈P])(otherwise) 「τが関係であること」はZF−Pの推移的モデルについて絶対であり,帰納条件の部分もΔ0論理式なので絶対.よって「xがP-nameである」もZF−Pの推移的モデルについて絶対的である.
MP:={τ∈M∣∣(τはP-name)M}=M∩VP
最後のイコールは絶対性から従う.
整礎帰納法によるP-nameの構成は,基礎の公理を使って集合の累積的階層を作っていく操作と似ている.余分な「p」は,各フィルターGを固定した際に,実際に元となるかどうかの「条件」として振る舞う:
τ:P-name,G⊆Pとする.この時
τG:=val(τ,G):={val(σ,G):∃p∈G,[⟨σ,p⟩∈τ]}
によりτGを帰納的に定める.この時,M[G]を次で定義する: M[G]:={τG:τ∈MP}
M[G]はMの各元とGを含むようにしたいので,それらを指示するようなMに属するP-nameがなくてはいけない.まず,Mの元を指す名前は,次のようにすれば作れる:
⟨P,≤,1⟩:forcing poset,x:集合とする時,xˇ (x-check)を次で定める: xˇ:={⟨yˇ,1⟩:y∈x}
1はどんなフィルターにも含まれており,「無条件」を表すものだと思えば,この定義は自然なものである.実際,次が云える:
(i) (∀x∈M)[xˇ∈MP∧val(xˇ,G)=x] (ii) M[G]⊇M
Proof. (ii) は (i) より直ちに従う.
(i)に関して.x∈Mとする.xˇ∈MPとなることは,「P-name」や直積,対などがZF−Pの推移的モデルについて絶対であることから直ちにわかる.後半についても,帰納法により一瞬で示せる.
先程,大抵の場合G∈/Mであることを述べたが,G∈M[G]であるためには,Gを指す名前はMに含まれていなければならない.実際,次のようにして簡単に作ることが出来る:
forcing poset Pに対し,Γ:={⟨pˇ,p⟩:p∈P}と定める.
ΓはP-nameであり,ΓG=Gとなる.特に,G∈M[G]である.
xˇもΓも特定ののを指すように作られているのは同じだが,それぞれ写像G↦τGと見做すと,xˇは定数写像G↦xに対応するのに対し,Γは恒等写像G↦Gになっているのが異なる.
こうして作ったM[G]がZFCの十分な範囲を満たすことを示したい.ここまでの準備で次を示せる:
M[G]は推移的で,外延性,基礎,対,和の公理のモデルとなる.
Proof. b∈a∈M[G]とする.この時,a=τGとなるようなτ∈MPが存在する.この時,b∈a={σG:∃p∈G⟨σ,p⟩∈τ}となるから,b=σGとなるようなP-name σ∈MPが存在する.よってb∈M[G]となるので,M[G]は推移的である. 基礎の公理はϵ-モデルであることから成立し,M[G]が推移的であることから外延性の公理も成立.
対の公理を示す.a,b∈M[G]とし,τG=a,σG=b(σ,τ∈MP)とおく.この時,π={⟨σ,1⟩,⟨τ,1⟩}とおけば,πG={σG,τG}={a,b}.対の絶対性より明らかにπ∈MPであるので,{a,b}∈M[G]となる.
最後に和の公理を示す.a=τG(τ∈MP)とし, π:={⟨θ,p⟩:∃⟨σ,q⟩∈τ∃r∈P[⟨θ,r⟩∈σ∧p≤r∧p≤q]},b:=πG とおく.絶対性より明らかにπ∈MPなので,b∈M[G]である.⋃はZF−Pの推移的モデルに対して絶対なので,b=⋃aを示せばよい.まずc∈aを取り,c⊆bを示す.この時,あるσ∈MP,q∈Gがあって,⟨σ,q⟩∈τかつσG=cとなる.ここで更にd∈cを取れば,⟨θ,r⟩∈σでθG=d,r∈Gを満たすものが取れる.すると,Gがフィルターであることから,p≤r∧p≤qを満たすp∈Gを取ることが出来る.この時定義より⟨θ,p⟩∈πとなるので,d∈πG=bとなる.よってこの方向はOK.
逆を示す.d∈bを取れば,⟨θ,p⟩∈πでθG=d,p∈Gとなるものが存在している.更にπの定義から,⟨θ,r⟩∈σかつp≤q,rを満たすような⟨σ,q⟩∈τ,p∈Pが取れる.すると,Gがフィルターであることとp∈Gに注意すればq,r∈Gとなる.そこでc=σGとおけば,⟨σ,q⟩∈τ,q∈Gよりc=σG∈τG=a.同様にしてd=θG∈σG=cが云え,d∈c∈aとなる.よってb⊆⋃a.よって示された.