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ブール代数 Pω/Fin について,次を満たす {aα}α<ω1,{bα}α<ω1が存在する.
aα<aβ<bβ<aα(α<β<ω1)
aα≤b≤bα(α<ω1) を満たすような b∈Pω/Fin
は存在しない.
以後,[]:Pω→Pω/Fin
を標準写像とする.この定理の証明の為に,幾つかの命題を証明しておく.
まず,次の事は簡単に確認出来る:
[A]=1⇔Aは補有限
[A]≤[B]⇔A∖B∈Fin
[A]=[B]⇔A△B∈/Fin
an≤an+1<1(n<ω) ならば,an≤b<1(n<ω)
となるような b が存在する.
Proof. [An]=an
となるような An⊆ω
を取る.次のようにして,jn<jn+1 を Ai∩[jn,ω)⊆An(i<n) を満たすように再帰的に定める.
まず,j0=0 とする.そこで
jn まで Ai∩[jn,ω)⊆An(i<n) を満たすように取れているとして,jn+1 を作りたい.ここで, jn+1=min{jn<j<ω∣An∩[j,ω)⊆An+1} により jn+1
を定めよう.もし右辺の集合が空集合であれば,どんな j>jn に対しても An∩[j,ω)⊊An+1
となるので,∣An∖An+1∣=ℵ0 となる.しかし,仮定より [An]≤[An+1] であったので,An∖An+1∈Fin
でなくてはならず,矛盾.よって n<ω に対し常に題意を満たす jn が取れる.
次に,jn≤kn,kn<kn+1(n<ω) を満たすように kn∈/An を構成したい.今,仮定より An は補有限ではないので,ω∖An は ω で非有界である.よって,このような
kn は常に取れる.
すると,m>n なら km∈/An
が成立する.なぜなら,m>n の時
An∩[jm,ω)⊆Am であり,今 jm≤km であったので An∩[km,ω)⊆Am である.ここで km∈An とすると,km∈An∩[km,ω)⊆Am となるが,km∈ω∖Am なので矛盾.
そこで,A=ω∖{kn∣n<ω} とおけば,b=[A]
が求めるものである.まず,構成から A は補有限でないので, b=[A]<1 である.また,An′=An∩[kn,ω)
とおけば,An∖An′⊆[0,kn)∈Fin より [An]≤[An′].また An′⊂An より [An]≤[An′].よって [An]=[An′]=an である.j∈An′ とすると,j>kn かつ j=km(m>n).よって,An′⊆ω∖{kn∣n<ω}となるので,an=[An]≤[A]=b である.
an≤an+1,bn≤bn+1,an∧bn=0(n<ω) ならば,an≤c
かつ bn∧c=0(n<ω) となる c
が存在する.
Proof. an=[An],bn=[Bn] とする.an∧bn=0 より An∩Bn∈Fin(n<ω) である.
そこで, Ai∩[jn,ω)⊆AnAn∩Bi⊆[0,jn)(i≤n)(*) を満たすように jn<jn+1 を取りたい.まず,An∩Bn∈Fin より,A0∩B0⊆[0,j0)
となるような最小の j0
が取れる.この時,A0∩[j0,ω)⊆A0 は自明に成立しているので,n=0 の時は OK. そこで,(∗) を満たす jn が取れているとき,jn+1 を次のように定める: jn+1=min{jn<j<ω∣An+1∩Bi⊆[0,j)(i<n+1),An∩[j,ω)⊆An+1}
ここで,An+1∩Bi⊆[0,j) となるような j
が取れることは補題 1
の証明で既に示した.また,An+1∩Bi∈Fin(i≤n+1) だから,各 i に対し ⊆[0,j) となるような j
が取れる.全順序性より二条件を満たすものは明らかに存在するので,jn+1 は well-defined
である.以上から,jn<jn+1
が取れる.
ここで An′=An∩[j,ω) とおくと,有限の差しかないので [An′]=[An]=an である.そこで,
C=⋃{An′∣n<ω}=⋃{An∩[jn,ω)∣n<ω} として,c=[C]
とおけば,an≤c
を満たす.また, Bm∩C=n<ω⋃(An∩Bm∩[jn,ω))=n<m⋃(An∩Bm∩[jn,ω))∪m≤n<ω⋃(An∩Bm∩[jn,ω))⊆n<m⋃(An∩Bm∩[jn,ω))∪m≤n<ω⋃([0,jn)∩[jn,ω))⊆n<m⋃(An∩Bm)∈Fin よって,bm∧c=0(m<ω) も成立.
λ
を無限順序数とする.X⊆ω,Xα⊆ω(α<λ),[X]≤[Y] とする.このとき,もし任意の k<ω について {α<λ∣Xα∩X⊆k} が有限なら,Y
も同様の性質を満たす.
Proof. 対偶を示す.つまり,[X]≤[Y] として,ある k<ω に対し,Y∩Xαj⊆k(j<ω) を満たすような αj<ω
が取れたとする.今,[X]≤[Y]
より X∖Y∈Fin.そこで,ℓ=sup+(X∖Y)<ω と置く.この時, X∩Xαj=((X∩Y)∪(X∖Y))∩Xαj=(X∩Y∩Xαj)∪(X∖Y)∩Xαj⊆k∪ℓ=max(k,ℓ) よって m=max(k,ℓ) とおけば {α<λ∣X∩Xα⊆m}∈/Fin となる.よって示された.
以上,三つの補題が,以下の証明において本質的な役割を果す.
定理の証明. 以下を満たすように Aα,Bα(α<ω1) を帰納的に構成する:
[Aα]∨[Bα]<1
[Aα]∧[Bα]=0
[Aα]<[Aβ],[Bα]<[Bβ](α<β<ω1)
各 k<ω,β<ω1 に対し, {α<β∣Aβ∩Bα⊆k} は有限
α=0 の時は,A0=B0=∅ とおけばよい.
α が後続順序数の時.Aα+1,Bα+1
を作ることを考える.β<α とすると,帰納法の仮定より Aα∪Bβ
は補有限ではない.そこで,ω∖(Aα∪Bα)={nk∣k<ω}(ℓ<k⇒nℓ<nk)
として, P={nk∣k≡0(mod3)}Q={nk∣k≡1(mod3)}Aα+1=Aα∪PBα+1=Bα∪Q とおく.このとき,ω∖(Aα+1∪Bα+1)={nk∣k≡2(mod3)} となるので,[Aα+1]∨[Bα+1]<1 である.よって条件 (a) は成立.また,条件(b) についても, Aα+1∩Bα+1=(Aα∪P)∩(Bα∪Q)=(Aα∩Bα)∪=∅(Aα∩Q)∪=∅(Bα∩P)∪=∅(P∩Q)=Aα∩Bα∈Fin より [Aα+1]∧[Bα+1]=0 となるのでOK.
構成法より Aα+1∖Aα=P,Bα+1∖Bα=Q
はいずれも無限集合なので,[Aα]<[Aα+1],[Bα]<[Bα+1]
である.帰納法の仮定より [Aβ]<[Aα],[Bβ]<[Bα](β<α)
が成立するので,これらを組み合わせれば [Aβ]<[Aα+1],[Bβ]<[Bα+1](β<α+1) となり,条件 () も成立.
最後に (d)
が成立することを背理法により示そう.そこで,{β<α+1∣Aα+1∩Bβ⊆k} が無限となるような k<ω
が存在したとする.この時,増大列 βn<βn+1(n<ω) であって Aα+1∩Bβn⊆k となるものが取れる.構成から Aα⊆Aα+1
であるので,Aα∩Bβn⊆k(n<ω)
となる.これは帰納法の仮定に反する.よって (d) も成立. 以上より,α が後続順序数の時,条件 (a)∼(d) を満たすように Aα,Bα
を作ることが出来る.
α=β
が極限順序数の時.γ<β
のとき,帰納法の仮定の (a) および
(c) と補題 1 から [Aγ]∨[Bγ]≤[X]<1(γ<β) を満たす X⊆ω が取れる.同様に補題より ≤[S],[Bγ]∧[S]=0(γ<β)(1) を満たす S が取れ,特に S⊆X としてよい(特に [X]∧[S] を考えれば,[X]∧[S]≥([Aγ]∨[Bγ])∧[S]=[Aγ] であり,[X]∧[S]∧[Bγ]=0
なので条件を満たす.また,[X]∧[S]⊆[X] より [S′]=[X]∧[S] で S′⊆X を満たすような S′
が取れる).
補題 2 を使って Aβ
を定めたい.そこで,まずは β=ω の場合について,[Bγ] について補題 2 の前提を満たす列 S⊆[Sk] を作りたい: ⎩⎨⎧[Sk]≤[Sk+1][Bn]≤[Bn+1][Sn]∧[Bn]=0(k<ω)(n<ω)(n<ω)(2)
今,Ik={n<ω∣S∩Bn⊆k}(k<ω) とおき,これを用いて S
を膨らませた列を作ることを考える.上の条件を満たす [Sk] を得るため,[Sk]∧[Bn]=0 かつ {n∈Ik∣Sk+1∩Bn⊆k} が有限となるように [Sk] を帰納的に定める.k=0 の時は,S0=S とすれば良い.そこで,Sk
まで条件を満たすように構成出来たとして,Sk+1 を作ろう.
Ik が有限集合の時は,Sk+1=Sk とおく.Ik が無限集合の時を考える.{n<m∣S∩Bn⊆k} は有限集合であるので,⟨Ik,<⟩
は各始切片が有限集合であるような無限整列集合である.このような性質を持つ順序数は
ω のみであるので,同型 e:ω→Ik が取れ,特に
e
は狭義単調増加な全射である.更に,このとき sup{e(n)∣n<ω}=ω である.これを示すには,e が全射であることから sup{e(n)∣n<ω}=supIk となるので,supIk=ω を示せばよい.もし
supIk=m<ω
とすれば,特に Ik={n<m+1∣S∩Bn⊆k}
と書けることになる.今,m+1<ω であり, (∗)
より Ik
は有限集合となり,仮定に反する.よって supIk=ω となる.
さて,[Bα]
に関する帰納法の仮定 (c) より [Bn]<[Bn+1](n<ω)
である.よって,数学的帰納法により 0<[Be(n)∖⋃i<nBe(i)]≤[X]
となることがわかる.従って Be(n)∖⋃i<nBe(i) が無限なので,pn∈(Be(n)∖⋃i<nBe(i))∩X を満たすような n≤pn が取れ,特に pn<pn+1 とできる.そこで,Sk+1={pk∣k<ω}∪Sk
と置く.この時,Be(m)∩{pn∣n<ω}⊆{pn∣n≤m}∈Fin より [Be(m)]∧[{pn∣n<ω}]=0
であるので,帰納法の仮定と合わせて ∧[Be(m)]=([{pk∣k<ω}]∧[Be(m)])∨([Sk]∧[Be(m)])=0∨0=0 を得る.
最後に ℓ<ω について
{n∈Ik∣Sk+1∩Bn⊆ℓ}
が有限であることを示す.まず,先程の議論より e は ω から Ik への順序同型なので {n∈Ik∣Sk+1∩Bn⊆ℓ}≈{n<ω∣∣Sk+1∩Be(n)⊆ℓ} である.今,Sk+1∩Be(n)=({pk∣k<ω}∩Be(n))∪(Sk∩Be(n)) なので,これが ⊆ℓ となるには,{pk∣k≤n}⊆ℓ となる必要があり,特に pn<ℓ でなくてはならないが,pn の取り方より n≤pn に取っているので,n<ℓ
でなくてはならない.よって,Sk+1∩Be(n)⊆ℓ に含まれるような n の候補は高々 ℓ 個しかない.よって,{n∈Ik∣Sk+1∩Bn⊆ℓ} は有限である.
以上より,(2) を満たすように
Sk(k<ω)
を取ることが出来た.よって,補題2
よりある [Aω] が存在し,
[Sk]≤[Aω],[Aω]∧[Bn]=0(n<ω) となる.特に,先程 S を取った時と同様な議論により Aω⊆X
としてよい.よって,特に [Aω]≤[X]<1 である.
そこで,Bω=X∖Aω とおいて,これが条件 (a)∼(d) を満たすことを示す.
[Aω]∨[Bω]=[X]<1 なので成立.
[Aω]∧[Bω]=[∅]=0 より成立.
n<ω
とすれば,帰納法の仮定により [An]<[An+1]≤[S0]≤[Aω] より [An]<[Aω].また,Bn∖Bω=Bn∩An∈Fin なので [Bn]≤[Bω].よって,先程と同様の議論により [Bn]<[Bn+1]≤Bω
となる.よって OK.
任意の k<ω
に対し, {n<ω∣Aω∩Bn⊆k}
が有限であることを示す.もし Ik={n<ω∣S∩Bn⊆k} が有限であれば,[S]≤[An] であることから補題 3
が適用出来,{n<ω∣Aω∩Bn⊆k}
も有限となる.
そこで,Ik
が無限の場合を考える.この時,構成法から {n∈Ik∣Sk+1∩Bn⊆k} は有限である.よって,構成時に使った
e について,{n<ω∣∣Sk+1∩Be(n)⊆k} も有限.今,[Sk+1]≤[Aω] より,補題3から
{n<ω∣∣Aω∩Be(n)⊆k} も有限となる.そこで,n0=sup+{n<ω∣∣Aω∩Be(n)⊆k} とおけば e(n0)<ω なので,{n<e(n0)∣Aω∩Bn⊆k}
は有限となる.n0 の取り方と Ik の定義より,{n<ω∣Aω∩Bn⊆k}={n<e(n0)∣Aω∩Bn⊆k}
となるので示された.
最後に β>ω
の場合を考える.ω<β<ω1 より,β
は基数でないので特に特異順序数である.また,β は可算な極限順序数であるので,cf(β)=ω
となる.そこで,f:ω→β を狭義単調増加な共終写像とする.この時,An′=Af(n),Bn′=Bf(n)
を考えると,Aα,Bα
に関する帰納法の仮定から,上の議論を適用でき,Aω′,Bω′
が取れる.そこで Aβ=Aω′,Bβ=Bω′
とおけば,これが題意を満たすものとなっていることがわかる:(a),(b) が成り立つことは明らか.(c) については,α<β とすると,ω の β での共終性から n<ω で α≤f(n)
となるものが取れる.よって [Aα]≤[Af(n)]<[Aβ] となる.[Bβ] についても同様である.(d)
については,少し議論が必要である.まず,各 k<ω に対し Jk={n<ω∣∣Aβ∩Bf(n)⊆k} は有限個である.そこで n=maxJk とおくと,f
の共終性と Bn の単調性から {α<β∣Aβ∩Bα⊆k}={α<f(n+1)∣Aβ∩Bα⊆k} となる.今,帰納法の仮定より {α<f(n+1)∣∣Af(n+1)∩Bα⊆k} は有限.f(n+1)<β より [Af(n+1)]=[An+1′]≤[Aω′]=[Aβ]
であるので,補題 3 から {α<f(n+1)∣Aβ∩Bα⊆k} も有限となる.以上より,任意の極限順序数 β<ω1 について必要な Aβ,Bβ が構成出来る.
以上より,(a)∼(d)
を満たすような列 Aα,Bα(α<ω1) が取れた.そこで,aα=[Aα],bα=¬[Bα]
とおけば,これが定理の主張する列となることを示す.
まず,aα<aβ,bβ<bα(α<β) は条件 (c) から直ちに従う.また,条件 (b) より aα∧¬bα=[Aα]∧[Bα]=0 なので,ブール代数の一般論から aα≤bα
となる.また,同様に条件 (a) から
aα∨¬bα=[Aα]∨[Bα]<1 なので bα≤aα である.よって
aα<bα(α<ω1) となる.以上より aα<aβ<bβ<bα(α<β<ω1) は示された.
二つめの条件を示せば,証明が完了する.そこで,aα≤b≤bα(α<ω1) となるような b
が存在したとして,矛盾を導こう.まず {α<ω1∣B∩Bα⊆k}が有限であることを示す.証明には,次の二つの命題を使う:
Proof. δ0=0,δβ=min{γ<κ∣∣Xγ∖⋃α<βXδα=∅}(β=0) とおく.この時,任意の β<κ に対し δβ が定まる.もしある β<κ に対し {γ<κ∣∣Xγ∖⋃α<βXδα=∅}=∅
となったとすると, ∀γ<κ,Xγ⊆⋃{Xδa∣α<β}
が成立する.今,κ
は正則なので,{δα∣α<β} は
κ で有界となる.よって,δ=sup{δα∣α<β}<κ が定まり,条件から Xδα<Xδ
となる.すると,上の議論から Xγ が {Xα∣α<κ} の最大元となり矛盾.よって δβ は well-defined
である.そこで,xβ∈Xδβ∖⋃{Xδα∣α<β} を取れば,各 xβ はそれぞれ異なるので,∣{xβ∣β<κ}∣=κ である.よって {xβ∣β<κ}⊆⋃{Xα∣α<κ} なので ∣⋃{Xα∣α<κ}∣≥κ となる. ◻
更に,次の命題も成立する:
Proof. まず,包含関係に関して正則基数型を持つ {Fα∣α<κ}
の共終部分集合を取る.共終性より,その共終部分集合の和集合は元の集合の和と一致するから,以後,κ は正則基数だと思えばよい.
そこで,命題1 に倣って δ0=0,δβ=min⎩⎨⎧γ<κ∣∣Xγ∖α<β⋃Xδα=∅⎭⎬⎫(β=0) とおき,xβ
を命題1と同様に定義する.δβ が定義されるような β
の全体は明らかに順序数となるので,それを α と置く.この時,α≤ω である.もしこの α>ω とすると,κ>ω であり,このとき {xn∣n<ω}⊆Fω となってしまい,Fi の有限性に反するからである.もし
κ≤ω
ならば,可算集合の可算和は高々可算であることから主張は明らか.そこで,κ>ω とする.κ は正則としてよかったので,δ=sup+δα<κ
が取れ,上の議論から特に δ≤ω となる.もし,δ=ω とすると,δn
の取り方より Fδn⊊Fδm(n<m) なので,Fω
が無限集合となり矛盾.よって,この場合は δ<ω
となるので,わかり易いように N=δ と書くことにする.このとき,Fδn⊊Fγ(n<N) となるような γ<κ が存在すれば,Fγ∖⋃{Fδn∣n<N}=∅ なので,γ=δN
となり矛盾.よって,{Fδn∣n<N}
は非有界なので,その和は元の集合の和に一致し,特に有限集合の有限和となるので,全体として有限になる.以上より,命題は示された. ◻
以上の二つの命題を踏まえて,Jk={α<ω1∣B∩Bα⊆k} の有限性を証明する.まずAα,Bα の構成法より,β<ω1 について,{α<β∣Aβ∩Bα⊆k}
は有限である.よって,補題3
および仮定の [Aβ]≤[B]
より {α<β∣B∩Bα⊆k}
も有限となる.
そこで,Fβ={α<β∣B∩Bα⊆k}(β<ω1) とおけば,{Fβ∣β<κ}
は有限集合族であり,明らかに Fα⊆Fβ(α<β) となる.また,明らかに
Jk=⋃{Fα∣α<ω1}
である.すると,命題 2 より ∣⋃{Fα∣α<κ}∣≤ω<ω1 である.よって,ω1 の正則性と命題 1 の対偶より,{Fα∣α<ω1} は最大元 Fγ を持つ.よって,Fα⊆Fγ(α<ω1) より Jk=⋃{Fα∣α<ω1}=Fγ となる.Fγ
は有限だったから,各 Jk
も有限となる.
すると,⋃n<ωJn は有限集合の可算和なので高々可算である.よって,α0∈ω1∖⋃n<ωJn が取れ,各 Jk
の定義より B∩Bα0
は無限集合となる.よって,b∧¬[bα0]=[B]∧[Bα0]>0
となるので,ブール代数の一般論より b≤bα0 となる.これは b≤bα
に反する.よって,このような b
は存在しない.