概観・集合論の地質学
Fuchs–Hamkins–Reitz
[1]で提案された集合論の地質学(set-theoretic
geology)は,与えられた集合論の宇宙Vがどんな内部モデルの強制拡大として得られるかを研究する分野である.
標語的ないいかたをすれば,
集合論の宇宙Vの基礎モデル全体は,強制拡大についてどんな順序構造を持ち得るか?
を研究するのが集合論の地質学である.
強制法の基礎については後ほど軽く復習するが,一応「基礎モデル」の定義を与えておく:
VをZFの推移的モデルとする.
M⊆VがVの内部モデルdef MはVの順序数を全て含む推移的モデルでM⊨ZF.
M⊆VがVの基礎モデルdef MはVの内部モデルで,擬順序P∈Mと(M,P)-生成フィルターG∈Vが存在してV=M[G]となる. このときV=M[G]と書き,VをMのGによる強制拡大と呼ぶ.
直感的にいえば,MがVの基礎モデルである,あるいはVがMの強制拡大である,といのは,VがP∈Mが近似しているM上の超越的なオブジェクトGを持ちVを含む最小の推移的モデルになっている事を意味する.
無矛盾性証明においてはVを外側に拡張していく事を考えるが,集合論の地質学においては,「この宇宙はどんな基礎モデルの強制拡大になっているのか?」という問題からVそのもの性質を探っていくことになる.
この問題を探るに当たり,最初に考えなくてはならないのは,基礎モデルは定義可能か?という事である.
実際,集合論の地質学の出発点となったのは,LaverとWoodinによって独立に示された次の定理である:
VをZFCの推移的モデル,P∈Vを擬順序,Gを(V,P)-生成フィルターとする. この時,V[G]においてVに属するパラメータを使ってVは一階の論理式で定義可能.
即ち,次を満たす論理式φ(x,y)とr∈Vが存在: V[G]⊨V={x∣φ(x,r)}.
この結果は単に一つの強制拡大について述べているだけだが,後にFuchs–Hamkins–Reitzらによって全ての基礎モデルが一様に定義出来ることが明らかにされた:
VをZFCのモデルとする.
次を満たす一階論理式φ(x,v)が存在する:
任意のr∈Vの対し,Wr:={x∈V∣φ(x,r)}はZFCを満たすVの基礎モデルでr∈Wr.
任意のZFCを満たす基礎モデルW⊆Vに対し,r∈WでW=Wrとなる物が存在.
“VはP∈Wrなる(P,Wr)-生成フィルターGによる強制拡大Wr[G]である”は(r,P,G)をパラメータとして定義可能.
Wrの定義は下方絶対的:Wr⊆U⊆Vなる推移的モデルU⊨ZFCに対し,WrU=WrV.
Wrの定義は上方絶対的:r∈V⊆V[G]に対し,s∈VでWr=WsV=WsV[G]となる物が存在.
これによって,「Vはいくつ基礎モデルを持つか?」といったような問題が考えられるようになる.
分析上自然に持ち上がる概念を次に定義する:
W⊆Vが岩盤(bedrock)
def
WはVの極小基礎モデル.
W⊆Vが堅い岩盤(solid
bedrock) def WはVの最小の基礎モデル.
Vの基礎モデル全体の共通部分をVのマントル(mantle)と呼びMで表す: M:=r⋂Wr.
Vの全ての強制拡大の基礎モデルの共通部分gMをVの生成マントル(generic
mantle)と呼ぶ: x∈gMdef∀P∈V1P⊩“xˇ∈M˙V[G]”.
Vは集合個しか基礎モデルを持たないdef
ある集合Xがあって,任意のr∈Vに対しr′∈XでWr=Wr′となるものが存在する.
Vは真クラス個の基礎モデルを持つdef
上が不成立.
極端な仮説として次の公理を考えることが出来る:
基礎モデル公理GAは次の主張である:
Vは真の基礎モデルを持たない.即ち,任意のr∈Vに対しWr=V.
特にGA⟺“VはVの(堅い)岩盤” ⟺V=M.
直感的には,基礎モデル公理は,Vが極端に小さいか極端に大きいかのどちらかであることを意味している.
例えば,Lを最小のZF(C)のモデルとすれば,当然L⊨GA が成り立つ.
しかし,宇宙の構造は豊かであればあるほどよい,という立場に立てば,VはLから離れているほどよく,GAはむしろ「Vは内部モデルから強制法で到達出来ないほど極端に離れている」という事を意図したものだと思える.
たとえば,Lの情報をコードした0♯という集合の存在を仮定すると,L[0♯]はGAを満たすモデルになっている.
これは直感的には,0♯の持つ情報がLからの強制拡大では得られないほど超越的なものであることによる.
上記で色々な定義をしたが,幾つか自然と湧き上がってくる疑問がある.
マントルMはZFないしZFCのモデルになるか?
生成マントルgMとマントルMは一致するか?
こうした問題は,次に掲げる基礎モデルの下方有向性仮説DDGおよび強い有向性仮説から解決出来ることはHamkinsら [1]によって指摘されていた:
VをZFCのモデルとする.
基礎モデルの下方有向性仮説(The
Downward Directed Grounds hypothesis, DDG)は次の主張:
任意の基礎モデルW,W′⊂Vに対し,U⊆W∩W′となる基礎モデルU⊆Vが存在する.
強い下方有向性仮説(strong
DDG, sDDG)とは次の主張である:
任意の集合Xに対し,{Wr∣r∈X}の共通の基礎モデルが存在する.
DDGが成り立つならM⊨ZF. sDDGが成り立つならM⊨ZFC.
gMは強制法で不変のクラス.
Vの全ての強制拡大でDDGが成り立つならM=gM.
知られている内部モデルはDDGを満たすらしい事はFHRで指摘されていたが,流石にZFCでは証明出来ないだろうと考えられ,反例のモデルの研究がされていた.
しかし,薄葉 [2]は強いDDGはZFCの定理であることを示した:
ZFC⊢sDDG.
これが集合論の地質学における二つめの基本定理である.
この事から,上に掲げた問題は次のようにして解決されることになる:
M⊨ZFC, gM=M.
Mは強制法で不変のクラス.
Vは高々一つの岩盤しか持たない.
より詳しく,次は全て同値になる:
Vの任意の強制拡大V[G]に対し,V[G]の基礎モデルは「集合個」しかない.
Vは集合個しか基礎モデルを持たない.
MはVの任意の強制拡大の堅い岩盤.
MはVの堅い岩盤.
MはVの基礎モデル.
Vは岩盤を持つ.
次の補題が必要になる:
GをV上のB-生成フィルター,W⊨ZFCを推移的モデル,V⊆W⊆V[G]とする. このときBの完備部分Boole代数B0でW=V[G∩B0]となる物が存在し,更にV[G]はWの生成拡大となる.
Proof. (1), (2): 補題 1より.
(3): 1⟹2は明らか. 2⟹3: Vが集合個しか基礎モデルを持たないなら,sDDGよりMはVの岩盤となる. このときV⊆V[G]をVの強制拡大とすると, (1)よりMV=gM⊆V⊆V[G]は強制拡大なので,MはV[G]の基礎モデルである. 特にgMの定義からM=gMはV[G]の全ての基礎モデルの共通部分に含まれているから,特にgMはV[G]の堅い岩盤となる. 3⟹4⟹5⟹6は明らか.
6⟹5:W⊆VをVの岩盤とする. この時M=Wとなる事を示せばよい.
M⊆Wは明らかなのでW⊆Mを示す. もしM⊊Wなら,Mの定義から基礎モデルW′⊆Vとx∈W∖W′となるものが取れる. DDGよりW,W′の共通の基礎モデルWˉ⊆W∩W′が取れるが,Wの極小性よりWˉ=Wとなり,x∈W=Wˉ⊆W′を得るが,これはx∈/W′に反する.
5⟹3: MがVの基礎モデルだとする. この時V⊆V[G]を任意の強制拡大とすれば,MV⊆V[G]はV[G]の基礎モデルとなっている.
ここで任意に基礎モデルW⊆V[G]を取ってM⊆Wとなる事が言えればよい. いまV[G]でDDGが成り立つので,Wˉ⊆W∩Mとなる基礎モデルが取れる. このときWˉ⊆M⊆Vだから,特にWˉはVの基礎モデルである. するとMVの定義からM⊆Wˉ⊆Wを得る.
3⟹1:V=M[H]となるQ∈Mと(M,Q)-生成フィルターHを固定しておく. 任意にP∈Vによる強制拡大V⊆V[G]を取れば,MはV[G]の堅い岩盤になっているので,任意の基礎モデルW⊆V[G]についてM⊆W⊆V[G]が成り立つ. 特にV[G]=M[H∗G]となっているから,M⊆W⊆M[H∗G]より事実 4からW=M[(H∗G)∩B0]となるようなB=B(Q∗P)の完備部分代数B0が存在する.
特に,このようなB0は高々22∣Q∗P∣-個しか存在しないので,V[G]の基礎モデルは高々集合個しか存在しない.
次回以降,最初の定義可能性の議論とsDDGの証明を追い掛けていくことにする.
基礎モデルの定義可能性
本節では前掲の定義可能性定理を示す:
VをZFCのモデルとする.
次を満たす一階論理式φ(x,v)が存在する:
任意のr∈Vの対し,Wr:={x∈V∣φ(x,r)}はZFCを満たすVの基礎モデルでr∈Wr.
任意のZFCを満たす基礎モデルW⊆Vに対し,r∈WでW=Wrとなる物が存在.
“VはP∈Wrなる(P,Wr)-生成フィルターGによる強制拡大Wr[G]である”は(r,P,G)をパラメータとして定義可能.
Wrの定義は下方絶対的:Wr⊆U⊆Vなる推移的モデルU⊨ZFCに対し,WrU=WrV.
Wrの定義は上方絶対的:r∈V⊆V[G]に対し,s∈VでWr=WsV=WsV[G]となる物が存在.
これは次のような戦略で示される:
V⊆V[G]が強制拡大の時,VはV[G]に対して「良い性質」を持つ内部モデルとなる.
「良い性質」を持つ内部モデルには或る種の一意性が成り立つ.
その一意性を使って「良い性質」を持つ内部モデルを列挙する.
その中からZFCを満たし基礎モデルになっている物だけを取り出す.
余ったパラメータで定義されるWrはVを返すようにしておく.
その「良い性質」は次で与えられる:
以下W⊆Vを推移的モデル,κをVにおける正則基数とする.
W⊆Vがκ-被覆性質(κ-covering
property; κ-CP)を満たすdef任意のx∈[W]<κ∩Vに対し,y∈[W]<κ∩Wでx⊆yを満たすものが取れる.
W⊆Vがκ-近似性質(κ-approximation
property; κ-AP)を満たすdef任意のx∈P(W)∩Vに対し,x∩y∈Wが任意のy∈[W]<κ∩Wについて成り立つなら,x∈W.
正則基数δ∈Vに対し,WがVのδ-擬基礎モデル(pseudoground)
def
(δ+)V=(δ+)WかつW⊆Vがδ-被覆性質およびδ-近似性質を持つ.
WがVの擬基礎モデルdefあるVの正則基数δ∈VがあってWはVのδ-擬基礎モデル.
基礎モデルは擬基礎モデルになっている事は次の定理によってわかる:
Pを擬順序,Gを(V,P)-生成フィルター,∣P∣≤δとする.
この時VはV[G]の擬基礎モデルとなる. 特に(δ++)V=(δ++)Wであり,V⊆Wはδ+-被覆性質およびδ+-近似性質を満たす.
Proof. ∣P∣≤δより補題 2からPはδ+以上の基数を全て保ち,特に(δ++)V=(δ++)Wとなる.
また,補題 3よりV⊆V[G]がδ+-被覆性質を持つのも明らかである.
よって後はδ+-近似性質を示せばよい.
対偶を取れば,A∈P(On)∩V[G]でA∈/Vを満たすものを取って,h∈[On]≤δ∩VでA∩h∈/Vとなるものを探せばよい. そこで⊩“A˙∈P(On)∖V”かつA˙G=AとなるA˙∈VPを固定する. ∣P∣≤δなのでP={pξ∣ξ<δ}によりPを列挙する. すると,各ξに対してpα⊩A˙∈/Vˇよりpξ0,pξ1≤pξとαξ∈Onでpξ0⊩“αˇξ∈/A˙”かつpξ1⊩“αˇξ∈A˙”を満たすものが取れる. もしなければ,pξが任意のαに対しα∈A˙の真偽を決定してしまうので,A′:={α∣∣pξ⊩“αˇ∈A˙”}とおけばpξ⊩“A˙=Aˇ′∈Vˇ”となり,A˙の取り方に反する.
そこでh:={αξ∣ξ<δ}とおけば,h∈V∩[On]≤δである. ここで,もしh∩A∈Vとすると,pξ∈Gとz∈Vでpξ⊩“hˇ∩A˙=zˇ”となるものが取れる. しかし,取り方からpξ0,pξ1≤pξとαξでpξ0⊩αξ∈/A˙かつpξ1⊩αξ∈A˙を満たすものが必ずあり,この時hの定義からpξ1⊩“αˇξ∈zˇ”かつpξ0⊩“αˇξ∈/zˇ”となる.
するとΔ0-絶対性よりαξ∈zかつαξ∈/zとなるが,これは矛盾.
続いてこうした擬基礎モデルがきちんと定義出来ることを見よう.
上で宣言した通り,擬基礎モデルは一つのパラメータで完全に決定することが出来る.
そのための議論に十分なZFCの部分理論ZFCδ≤κを定義する.
ZFCδ∗の言語は述語記号∈に加え定数記号δ,λを持ち,公理は以下で与えられる.
ZC−Power:内包,対,和集合,無限,基礎,整列定理,
「δは正則基数」,
≤δ-置換公理:任意のf:δ→Vと集合Aに対し像f[A]が存在.
≤κ-冪集合公理:任意の集合Aに対し濃度δ以下の部分集合全体からなる集合[A]≤κが存在.
P(<κ2)が存在する.
順序数コード公理:任意の集合Aは順序数αとその上の二項関係Eにより⟨trcl({A}),∈⟩≃⟨α,E⟩の形でコード出来る.
また,ZFC≤κ:≡“ZFCκ≤κ+無制限の置換公理”,ZFCδ:≡“ZFCδ≤δ+冪集合公理”と略記する.
ZFCではなくその部分体系ZFCδ≤κを考えるのは,次の一意性定理がZFCで証明出来るからである:
κ>δ, W,W′,VをZFCδ≤δの推移的モデルとし,W,W′⊆Vとする. W⊆V, W′⊆Vがそれぞれδ-擬基礎モデルで(<δ2)W=(<δ2)W′が成り立つなら,W=W′.
特に,ZFCδ∗のδ-擬基礎モデルは(<δ2)の値によって一意に決定される.
Proof. まず最初に,δ-近似性質から,PW(δ)=PW′(δ)が成り立つことに注意する.
また,擬基礎モデルの定義より(δ+)W=(δ+)V=(δ+)W′となるので,「∣A∣<δ」という論理式には(Aを点として持っていれば)曖昧性はない.
更に,δ-被覆性質より∣A∣=δという表現も曖昧性を持たない.
上の注意より,WとW′が同じ順序数の部分集合を持つことがわかれば良い.
特に,WとW′が共にδ-近似性質を満たすことから,[On]<δ∩W=[On]<δ∩W′が示せれば良い.
まず,W,W′両方で通用するような弱い被覆性質が成り立つ:
これを踏まえて[On]<δ∩W=[On]<δ∩W′を示す.
特に対称性から[On]<δ∩W⊆[On]<δ∩W′が言えれば逆も同様になる. そこでA∈[On]<δを任意に固定する.
上の主張から,B∈[On]≤δ∩W∩W′でA⊆Bとなるものが取れる.
特に,otp(B)<δ+なので,二項関係w∈Wでotp(δ,w)=otp(B,<)となる物が取れる. いまw⊆δ×δであり,δの部分集合としてコードできるので,仮定よりPW(δ)=PW′(δ)に注意すれば,w∈W′とできる. すると,wはBの列挙B={bα∣α<δ′}を誘導し,W′の≤δ-置換公理より⟨bα∣α<δ′⟩∈W′となる. 一方,A∗={α<δ′∣bα∈A}はWで定義可能であり,再びPW(δ)=PW′(δ)よりA∗∈W′を得る. 逆にAはA∗と⟨bα∣α<δ′⟩だけを用いて定義可能なので,A∈W′を得る.
以上から擬基礎モデルの定義可能性が従う:
W⊆Vがδ-擬基礎モデルなら,Wはr:=(<δ2)Wをパラメータに使ってVで定義可能.
Proof. x∈Wは「十分大きなθについてx∈Hθ∩W」というのと同値だが,上の定理 6よりHθ∩Wはr=(<δ2)Wによって一意に定まる. そこで次のように書いてやれば良い:
x∈W⟺∃θ≫δ∃M⊆Hθ⎩⎨⎧θ>2δ:正則非可算,(<δ2)M=r,(δ+)M=(δ+)V,x∈M⊨ZFCδ≤δ:transitive,M⊆Hθhasδ-AP and δ-CP.
論理式ψ(x,y)で,任意のクラスWに対して次を満たすものが存在: ∃r∈V[W={x∣φ(x,r)}]⟺W は V の擬基礎モデルで r∈W.
Proof. r=(<δ2)Mの形になっていなければVの元にして,それ以外なら上のMを返す.
よって,あとは{(x,r)∣ψ(x,r)}の中からZFCのモデルでVの基礎モデルになっているものだけ見付けてくれば良い.
それには,次の事実を使えばよい:
推移的部分モデルM⊆VがGödel演算で閉じ,概宇宙的であるならMはZFの内部モデルとなる.
但し,Mが概宇宙的であるとはx∈P(M)∩Vならx⊆y∈Mなるyが取れることであり,Gödel演算は対や積,射影,順序入れ換えなどなんか良い感じの定義可能な集合演算10個のことである.
つまり,定義可能な基本集合演算で閉じていて,内包公理の候補を絞ってくれる集合が取れるならZFが成り立つ,という訳である.
ZFCのモデルになっているかは,これに加えて選択公理が成り立つかどうかだけチェックすればよい.
基礎モデルであるかも,単にVがMにある擬順序による強制拡大になっているか書けばいいだけだから,これらは全て一階の論理式で書ける.
よって,定義可能性定理が従う.
Proof of Uniform Definability of Grounds. 上の議論からW={(x,r)∣φ(x,r)}が(1)- (3)の性質を満たすように取れるのは明らか.
問題は絶対性に関する(4), (5).
まず(4)について. Wr⊊U⊊Vの場合だけ考えればよい. この時,Wrにおける完備Boole代数B∈Wrと(Wr,B)-生成フィルターGでWr[G]=Vとなる物を取る. δ:=∣B∣とおいてrを適宜取り直せば,r=(<δ2)Wrとして良い. このとき,中間拡大補題 4よりB0⋖BでU=Wr[G∩B0]となるものが取れる. このとき∣B0∣≤∣B∣=δなのでWr⊆Uはδ+-擬基礎モデルになっている.
よってWrV=WrUとなる.
(5)はWr⊆V⊆V[G]とした時にV[G]でWsV[G]=WrVとなるs∈Wrを取れば,(4)から従う.